事業仕分けは誰のために

H22.7.26更新

民主党に政権が移ってから、話題に上ったものに「事業仕分け」がある。予算の無駄を無くすために蓮舫議員が鋭い切り口で活躍して、H22年7月の参議院選挙では多くの国民から支持(約171万票)を得たが、事業仕分けは本当に国民のためになるのか一考してみる必要がある。だからと言って自民党ならば大丈夫、とは言えないのは悲しいところである。日本の財政を考えてと言うよりは、人気を得る(選挙と党の)ためのデモンストレーションとの印象を受ける。

★企業の経営悪化で税収入が減った今、収入より支出が大幅に多い赤字経営の日本。多くの無駄な事業にメスが入れられ、税金の無駄遣いが無くなり健全な財政になるのには誰も反対はしない。無駄を無くすためなら大鉈を振り下ろして大いにやってもらいたいものだ。
 しかし、その事業が無駄であるかどうかを判断しているのは、政治を担った(与党)経験は浅く、夫々の事業の業績や社会貢献等よりも事業仕分けに量られるための資料のみで、その場の感情で判断しているように受け取れた。担当した議員は事業仕分けをするために十分な勉強をしたようには思えない。
もっとも、時間をかけて十分に事業のことを調べてから仕分けをすれば、どの事業も必要だと思えてきてバッサリと切ることは出来ないだろう。

 

★「無駄」とは、何に対して無駄と考えるのか。近視眼で無駄と思えることも、長い目で見れば有意義なことも少なからず有り得る。個人や企業では損得を考えたら出来ないことでも、国の政策としてやらなければならないことも多い。無駄だと判断されて予算が削減されれば、その事業で何とか潤っていたところが窮地に追いやられるし、またそこで職を得ていた人が人員削減の対象になる場合も出てくる。失業率が高い中、雇用を創出していかなければならない時期に解雇を助長するようなことになってはならない。無駄と分かっていても雇用の一面をみると、この無駄が見方を変えれば福祉事業にもなっていることになる。

 

★事業そのものが無駄かどうかではなく、その事業の恩恵でぎりぎり生活を営んでいる人にとっては、無駄な経費と言えども雇用を維持しているのだから、無駄とも言えない部分が有る。しかし、役職に就いているのだけで実質は仕事もろくにしてないのに、高給を貪るエリート族を養うだけの税金の遣い方は、是が非でも仕分け対象にして欲しい。現実はどうかと言えばその逆で、高給を得ている者が保護される代わりに、慎ましい生活をしている者にツケが回って来る。事業仕分けで、このような内部のことに踏み込むようなことは不可能だろう。
将来の生活が少しでも安心出来るように蓮舫議員に1票投じたけれど、自分の首を絞めることになろうとは思いもよらなかっただろう。