要らぬ融雪剤

 H30.1.14 更新


融雪剤の散布状況


  年に何度か降雪をみる関西の山沿い(府道)の状況である。
天気予報で、気温が下がるとか、冬型の気圧配置で降雪があるかもしれない、となった翌朝には融雪剤(塩化カルシウム)が数kmにわたり散布されることが多い。しかし、結果として雪は降らないか、または降っても積もらないとか、積もっても1〜2cm程度である。もちろんスリップすることはない。道路には融雪剤だけが何日も残り、路面が写真のようにベタベタした状態になる。

 降雪が無いときに融雪剤が散布されるけれど、積雪で通行困難な肝心な時には融雪剤を散布しに来ないのである。
沢山雪が降った時は、他の幹線道路を優先して、雪が降らない暇なときに当方へ来るようだ。
散布車で散布してるということは、自動車が問題なく走れているので融雪剤を散布する必然性は無いとも言える。
当方への融雪剤散布基準(府の管理)は気温が2℃以下に下がりそうな時に融雪剤を散布しているように思われる。しかし、気温が下がっても凍るべき水分が無ければ凍らないし、雪が降らなければ融雪剤も必要無い。

一般的には、融雪の目的には即効性のある塩化カルシウムが散布される。凍結防止の目的には効果が持続する塩化ナトリウムが散布される。

融雪剤が不要な状況下での散布は、税金の無駄遣いである。 公害の散布でしかない。

 機械で融雪剤を散布したもの
雪はこの前後で降らなかった
 スコップや竹箒で融雪剤散布したもの
散布しなければ右端のように乾燥状態
斑の白いものは雪ではなく融雪剤

 

スリップ

 降雪が無い所に融雪剤散布が何故困るかというと、ベタベタする状況では車のタイヤがスリップし易くなることである。
積雪時の滑りやすい状態は数時間程度であるが、残存融雪剤のべたついた状態はその後何日も続くことである。積雪時には誰しもスリップしないように慎重に運転するが、周りに雪が無くて路面が黒いだけなら、路面が水で濡れているだけだと思い降雨後と同じような感覚で走ると、カーブでコントロールを失って対向車線にはみ出したり、脱輪や壁に衝突するような事故につながる。実際にスリップ事故は起きているが、残存融雪剤との因果関係があるとも知らず、泣き寝入り(一部で残存融雪剤の裁判となった例もある)の状態である。

靴等が汚れる

 路面が融雪剤でベタつくと、歩行時に靴底に付着して、靴底に付着した塩が車内のマットやペダル、そして家の玄関もベタついてしまう。

金属が腐食

 融雪剤の塩分で車の腐食が促進される。タイヤハウスの周辺やマフラー等が腐食の影響を受けやすい。特に軽自動車や雪国仕様でない車は腐食で使用寿命が短くなる。素材がステンレスであっても、排気系統など高温になる部材では、溶接部で腐食疲労破壊をおこす。
 道路上のマンホールも鋳物なので腐食を免れない。マンホールの蓋は腐食して赤錆になるが、その周り数mのアスファルトも茶色になっている。

犬の散歩に支障

 犬を飼っていると毎日の散歩は欠かせない。殆どの犬は裸足で歩くので、融雪剤に肉球や毛が直接触れることになり、融雪剤で犬の足に炎症が生じたり、肉球に着いた塩に違和感を覚えて足を舐めることにより胃腸障害を起こす恐れもある。

融雪剤散布のメリット

・路面凍結や圧雪状態で、融雪剤を散布することでノーマルタイヤの車でも早期に通行可能になる。
・散布を請け負った業者が潤い、道路管理者も責任回避できる一面もある。

 

メーカーの指導

 ・路面(アスファルト)散布する場合は、確実に積雪が見込まれる時以外は散布を控える。
 ・コンクリート製の溝やふた、縁石への散布は劣化を招くので注意。
 ・植物に直接散布しないこと。特に針葉樹。
 ・金属類への直接散布は腐食性があるので避ける。