マスコミが日本の行方を危める

H22.7.12更新

 日本も昔に較べて随分と変わってきた。その世の中を変えているのは政治家や官僚ではなく、企業など大手資本でもなく、マスコミが寄与するところが大きい。そのマスコミに影響を与えるのは市民の声や反応である。マスコミ関係で働いている人、それぞれ個人の意思とは関係なく世間に影響力を及ぼす。
 テレビ番組や新聞は、稀に間違った報道もするが、殆どものは在るがままを伝えているので正しいと言える。しかし、真実も何を報道するか、どの部分を報道するかによっては受け取り手に伝わるものが異なってくる。即ち、マスコミは必ずフィルターを通して真実を伝えていることになる。
雑誌や民放に至ってはこの傾向がさらに強くなっている。

★何かの事故が有った場合に、専門家にインタビューをして、事故原因は何処にあったかを探ろうとするテレビ番組は何度もあった。専門家は自分の専門分野で事故を公平な立場で説明しようとするが、何十分かの録画時間で、何処を切り取りどう編集するかで、視聴者が受け取る内容は専門家が意図したことと180度違ったものが報道されることがよくある。報道陣は先ず最初に結論があって、それに沿う主旨の説明なら取り上げるが、逆の説明はカットして、視聴者が喜びそうな内容のみを番組として放送する。
インタビューの専門家を誰にするかを選定する段階においても、報道陣がこの人ならこんな解説をするであろうと、この時点からフィルターを掛けてしまっている。

★平成21年8月の衆議院選挙で、自民党か民主党かと言われて、結果として民主党が大勝をした。これはマスコミ報道の誘導に市民が踊らされた結果が民主党になった。選挙前に街角の人に、どのように思われますかとの問いに答えることは、人気テレビ番組のキャスターやコメンテーターの意見がそのまま返ってきて、如何にテレビや紙面の影響が大きいかが伺える。

★平成22年7月の参議院選挙で、民主党の菅総理が「自民党の消費税率10%案も参考にして、今後は検討していく」と話たら、マスコミがこれを参議院選での争点に持ちあげ、有権者には「消費税10%増税に賛成(民主党)か反対か(野党)」を問う構図にしてしまい、結果として与党(民主党)が惨敗する結果に繋がった。菅さんは言葉の恐ろしさを実感したに違いない。

★スキャンダルで失脚する政治家が後を絶たない。マスコミは政治家のちょっとしたミスのあげ足を取ることに躍起になっているが、そんなことよりも政策の中身をちゃんと報道して欲しいものだ。愛人が居ることが発覚して、有能な政治家を失脚させることは日本の政界にとっては大きな痛手となる。私が思うに、悪いとこは何もないが良いことは1個だけの政治家よりは、悪いとこは3個あるが良いことはそれ以上の10個もしてる政治家の方がより良い政治家だと考える。マスコミは10個の良いことは取り上げないで、必ず悪いとこの3個を重点的に取り上げて、人気を得ようとするのはマスコミの性だと言える。

★凶悪犯罪が後を絶たないが、その多くはテレビや紙面の犯罪報道の模倣犯であり、マスコミ報道の在り方に再考の余地がある。銀行ATMを重機で破壊して現金を奪い取るとか、コンビニに覆面して強盗に入れば、怪我をしないためにも直ぐに現金を渡すとか、オレオレ詐欺とか、報道が犯罪方法を公示しているような一面も有る。報道されなければ、恐らく犯罪そのものすら考えつきもしないであろう。

★世の中には数多くのスポーツが有るけれど、スポーツ報道されるのは野球、サッカー、ゴルフ、バレーボール、アイススケート等ごく限られてしまう。野球は多くの時間を割いているので、選手の名前やその他細かいことまで皆良く知っているから、野球を見るのも面白いかと思う。多くの人が関心あるから野球報道の持ち時間が長くなる。他のスポーツは自分でやっている人は面白いが、一般市民は選手の名前も知らなければ何処が見どころかも良く分からないから、たまに報道されても視聴率も上がらない。こんな悪循環が特定のスポーツばかり報道することになって、マスコミに洗脳されたスポーツファンが増えることになる。そして、あたかも市民が望んだスポーツ番組みたいに報道される。